雑司ヶ谷未来遺産　2015/2

2014年12月に雑司ヶ谷地域が未来遺産に登録された。
未来遺産とは地域の豊かな自然や文化を100年後の子どもたちに残すために、毎年、地域の市民団体が取り組む活動を　日本ユネスコ協会連盟が『プロジェクト未来遺産』として登録するもので、東京都では、神楽坂、谷中に続き、雑司が谷が3番目となる。

登録記念シンポジュームが開催された。
法明寺住職の話では長崎神社あたりまで含めて雑司ヶ谷鬼子母神の文化圏であるという。
雑司ヶ谷は現在1〜３丁目しかないが昔は7丁目まであり、６，７丁目は現在の西池袋の駅付近であった。
確かに明治の地図には並木の金剛院があり地蔵堂と雑司ヶ谷鬼子母神を結ぶ道が描かれており、文化圏を感じさせるようなトライアングルなのである。（＊１,２）

　南池袋小学校校長は大勢の生徒を引き連れシンポジュームへ参加。南池袋小学校のテーマ、伝承への取組みは中々のものである。南池袋小学校は法明寺の隣に位置する小学校でこの小学校の校章は"すすきみみずく"である。 取上げた伝承テーマは"すすきみみずく"作り、蛍の飼育、雑司ヶ谷のお祭り（お会式）で使う纏（まとい）。

"すすきみみずく"作りは
小学4年生による。故事にならって9歳の4年生と動機付けがよく出来ている。"すすきみみずく"は頭と胴に分かれており結構、作り方が難しい。鬼子母神の"すすきみみずく"を作れる人が居なくなり、途絶えてしまっていたが法明寺住職などが保存会を結成、"すすきみみずく"作りの復活させたという話である。そして材料として使うススキはもうこの地域に無いため、豊島区と姉妹都市である秩父市にお願いして分けてもらったという話である。今では学校にススキの株を移植して育てている。
今でも秩父市との交流が続いているという話である。ひよっとすると数年前、東通り商店街のお祭に秩父の山車を借りてきたことがあったが交流の一環かもしれない。（＊３）

蛍はその昔、
雑司ヶ谷の弦巻川周辺には沢山の蛍が生息していたと言う話である。今は暗渠になって、弦巻商店街となっている。弦巻商店街の曲線的に曲がる道は実は弦巻川のなごりなのだ。
今、都会に住む人はテレビなどではなく、自分の目であの蛍の光を体験した事がほとんど無いことだろう。蛍の飼育は清い川の流れを作る必要があり、餌の問題などもあり、難しいが小学生が自分たちの目で蛍の光を体験出来るのはなんとすばらしいことか。

纏（まとい）
小学生に纏を持たせ、纏を通じて連帯意識とコミュニュケーションを図る。大人でも纏を振るチャンスに恵まれる人はそうは居るまい。纏という漢字があったとは知らなかった。すごく難しい漢字である。一生涯、目にしない漢字かも知れない。ここの小学生は決して試験にはでないこの漢字を体験とともに覚えていくことだろう。

　秋に鬼子母神で行われるお会式の祭りに纏が登場する。お会式は万灯の夜祭として知られている。それも本格的なものだ。夜7時に清土鬼子母神（吉祥天）を万灯の行列が出発し、鬼子母神に向う。ゆっくりゆっくり進み1時間以上かけて鬼子母神に到着する。鬼子母神でお払いを受け、万灯と纏の舞を奉納する。行列の数が多いので9時になってもまだ最終組が到着しない。全部が到着しないと祭りは終わらないのである。話によると時間制限が無いようである。また境内には夜店が所狭しと並ぶ。しかも、ただの夜店ではない。店の中に桟敷が用意され、そこで飲食が出来るという本格的なものである。
これらを自然体で行えるのはまさしく伝承という言葉にふさわしい。南池袋小学校の子供たちへの動機付けとしての舞台づくりには敬意を表したい。

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平成２８年７月
雑司ヶ谷の鬼子母神堂が有形重要文化財に指定されました。

関連コラム
＊１　西池袋町の誕生
＊２　池袋の古道
＊３　池袋の珍しい山車

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