星めぐりの歌　2013/10

　高倉健主演の映画、"あなたへ”の挿入歌で田中裕子が歌っているシーンが出てくる。ゆっくりとして心に響くような良い歌である。日本語の歌なのだが、聞いていて何を言っているのか良く分からない歌詞なのだ。　これは宮沢賢治の作詞作曲による「星めぐりの歌」だそうだ。歌詞は以下のようなものだ。

あかいめだまの　さそり
ひろげた鷲の　　つばさ
あをいめだまの　小いぬ、
ひかりのへびの　とぐろ。
オリオンは高く　うたひ
つゆとしもとを　おとす、
アンドロメダの　くもは
さかなのくちの　かたち。
大ぐまのあしを　きたに
五つのばした　　ところ。
小熊のひたいの　うへは
そらのめぐりの　めあて。

ようするに歌詞を読んでも意味がすぐには理解できない暗号のようなものだということだ。
　映画の挿入歌は歌いやすいように”お”が随所に追加されている。例えば鷲がお鷲、アンドロメダがアンドロおメダといった具合である。”お”追加された方が優しい歌になる。

　最後の歌詞は大ぐまのあしを　きたに　五つのばした　ところ。　小熊のひたいの　うへは　そらのめぐりの　めあて。となぞが深まる内容となる。これは大くま座の足の所を北に五つ伸ばしたところで小熊座の額の上が空の巡りの目当てとなる。という意味である。この場所が北極星の位置だ。但し、少し間違いがあるようである。星座から動物の形を想像するのは難しい。大くま座を形成しているのは北斗七星でひしゃくの部分を五つ伸ばした所が北極星で小熊座の枝の先端が北極星となるが神話では北極星は小熊座のしっぽの先端に当るため、額ではない。実は神話に出てくる大くま、小熊のしっぽは異常に長いのだ。これは宮沢賢治の北極星の見つけ方の歌だ。

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